佐々木朗希、正直に明かしたジレンマ――「週1登板」と「フォーム改造」の両立という難題
グラウンドの外でも、彼の話題は尽きることがない。
ドジャースに移籍した佐々木朗希が、自身の現状について率直な言葉を口にした。「フォームの改造には時間がかかる」——そう認めながらも、短期と長期の課題を切り分けながら調整を続けているという。シンプルな一言に見えて、その裏には想像以上に複雑なジレンマが潜んでいる。
「週1回しか投げられない」という現実の重さ
プロ野球でもMLBでも、先発投手(チームの「エース格」として試合の最初から投げる役割の投手)は基本的に中5日から中6日のペースで登板する。つまり、実際にマウンドに立てるのはおおよそ週に1度だけ。これは一見当たり前のことのようだが、フォーム改造中の投手にとっては非常に厳しい制約になる。
なぜか。フォームというのは、何度も反復して体に染み込ませるものだ。バッターなら毎日素振りやバッティング練習で修正できる。でも投手が「実戦の感覚」を得られるのは、登板日しかない。ブルペンでの投球練習(試合前に行う調整投球)と、打者を前にしたマウンドでの感覚は、まったく別物なのだ。
佐々木自身も認めているように、制球(ボールをコントロールする精度)が乱れる場面が多く、リードを守りきれずに降板するケースも出ている。「カウント悪くする場面が多かった」という言葉は、本人の正直な苦しさの表れだろう。今季初勝利もまだお預けの状態が続く。
「当然の選択」と言われた配置転換、その真意
米メディアの一部は、佐々木の現状について「配置転換は当然の選択」とまで報じている。これはポジションを変えるという意味ではなく、起用方法や役割の見直しを指した表現だ。厳しい言い方に聞こえるが、裏を返せばチームが彼の長期的な成長に真剣に向き合っているとも読める。
佐々木が強調しているのは「短期の課題」と「長期の課題」を分けて考えるという姿勢だ。目の前の登板で結果を出すことと、将来にわたって通用するフォームを手に入れることは、必ずしも同じ方向を向いていない。両方を同時に完璧にやろうとすると、どちらも中途半端になる——そのジレンマを、彼自身が冷静に言語化しているのは、むしろ成熟した思考だと感じる。
まだ若い。経験値という意味でも、肉体的な完成度という意味でも、伸びしろは十分にある。ドジャースという世界最高峰の環境で、大谷翔平や山本由伸といったチームメートの存在も大きな刺激になっているはずだ。焦らず、でも着実に。そのフォームが固まったとき、彼が何者になるのか——次の登板が、またひとつその答えに近づく一歩になる。
出典: dメニューニュース
