「生まれながらの勝者」山本由伸、メジャー初の200イニングへ——ロバーツ監督が語った絶大な信頼
また一つ、歴史に刻まれる瞬間が訪れたかもしれない。
ロサンゼルス・ドジャースのデーブ・ロバーツ監督が、エース・山本由伸についてとても印象的な言葉を残した。「彼は生まれながらの勝者だ」——短い一言だが、この表現の重さは相当なものである。MLBの長いキャリアを持つ指揮官が、これほどストレートな称賛を口にするのはそう多くない。
200イニングという”大台”が見えてきた
野球において「200イニング」という数字は、一人の先発投手が一シーズンを通じてどれだけ安定して投げ続けられたかを示す、いわば勲章のような指標だ。1イニングとは攻撃側の打者を3人アウトにするひとつの区切りで、先発投手が200イニングを投げるということは、シーズンを通して約33試合分をほぼ一人で担い切ったことを意味する。メジャーリーグでもこれをクリアできる投手はごく一握り。まさにエース中のエースにだけ許された領域といっていい。
山本はメジャー移籍後、故障もあって200イニングには届いていなかった。だからこそ今季のロバーツ監督の発言は重みを持つ。「可能性はあるだろう」という言葉は、単なる励ましではなく、実際の状態と信頼感に裏打ちされたものだと受け取るべきだろう。
日本時代、山本はNPB(日本のプロ野球)で圧倒的な成績を残し続けた投手だ。奪三振(バッターを投球だけでアウトにする能力)の高さ、制球力(狙ったコースに投げ込む精度)、そして登板ごとの安定感。これらすべてがトップレベルで、日本球界では「令和の怪物」と並び称される存在だった。それがメジャーという世界最高峰の舞台に渡り、今まさに200イニングという大台を射程に捉えつつある。
監督の言葉が示す、チームの”核”としての存在感
「生まれながらの勝者」という表現、ロバーツ監督はなぜこの言葉を選んだのか。技術の高さだけなら、もっと数字的な称賛もできたはずだ。あえてこういう表現を使ったのは、山本の投球そのものというより、マウンド上での振る舞い、プレッシャーのかかる場面での落ち着き、チームを引っ張るメンタリティ——そういった”人間としての器”を評価しているからではないだろうか。
今季のドジャースはワールドシリーズ(MLBの頂点を決める最終決戦)連覇を狙う立場にある。大谷翔平というスーパースターが打線を引っ張る中、山本はその看板に恥じないピッチングでチームを支えてきた。二枚看板どころか、チームの顔が二人いる——そんな贅沢な布陣が、今のドジャースの強さの根幹だ。
もちろん、200イニングは決して自動的に到達できるものではない。登板のたびに体を削り、疲労と戦い、それでもチームのために腕を振り続ける。その積み重ねの先にある数字だ。山本がそこに辿り着いたとき、日本人投手としての歴史がまたひとつ更新される。
次の登板で、彼がどんな投球を見せてくれるのか——今から楽しみでならない。
出典: THE DIGEST
