マウンドを離れてもヒーローだった――山本由伸、児童養護施設サプライズ訪問が示した本物の「超一流」
数字が、言葉よりも雄弁に物語っている。
ドジャースのエース・山本由伸といえば、MLBファンの間では圧倒的な投球パフォーマンスで知られる存在だ。ただ、今回ばかりはマウンドの上の話ではない。彼がこのたびファンをざわつかせたのは、ある静かな、しかし強烈な「行動」によってだった。
サプライズ訪問、その裏側にあったもの
山本由伸が、日本国内の児童養護施設(親と一緒に暮らせない子どもたちが生活する施設)をサプライズで訪問した。事前告知もなく、派手な演出もなく、ただ「会いに行った」。その一点だけで、SNS上では称賛の声が止まらなかった。
「あまりにもカッコ良すぎるだろ」という反応が象徴するように、これは単なる慈善活動として消費されるような話ではない。トップアスリートが社会貢献活動を行うこと自体は珍しくないが、山本のケースが際立っているのは、その「動機の純粋さ」が行動の端々ににじみ出ているからだろう。
報道によれば、施設の子どもたちにとってそれは夢のような瞬間だったという。MLBという世界最高峰の舞台(プロ野球のなかで最もレベルの高いアメリカのリーグ)で戦うピッチャーが、突然目の前に現れる。そのサプライズが持つ意味の大きさは、想像するだけで胸が熱くなる。
「利他の精神」が本物である理由
スポーツの世界で「超一流」という言葉は、しばしば成績だけで使われる。奪三振数、防御率(投手が1試合あたり何点取られたかを示す指標)、勝利数――そういった数字が選手の価値を語る世界だ。でも山本由伸という人間を見ていると、一流であることの定義が少し広がる気がする。
利他の精神、とは要するに「自分よりも他者のために動く心」のことだ。それを「体現している」と言うのは簡単だが、実際に行動で示すのは全然違う話である。特にトップアスリートともなれば、オフシーズンや休暇の時間は体のメンテナンスに充てることが最優先になる。そんな状況下で、子どもたちのもとへ足を運ぶという選択をする。その事実の重みは、軽く見てはいけない。
華やかなスポットライトの外で、誰に見せるわけでもなく動ける人間だけが持つ「静かな強さ」。山本由伸はそれを持っている。いや、それを「持っている」という表現すら少し違う。彼にとってはそれが自然なことなのだろう、というのが今回の報道を追っていての率直な印象だ。
ドジャースの先発ローテーション(チームの主力投手の順番)の柱として、今シーズンも山本への期待は高い。肘の状態も回復してきたと伝えられており、次回登板ではマウンド上での「超一流」をあらためて見せてくれるはずだ。グラウンドの内でも外でも、山本由伸から目が離せない。
出典: au Webポータル
