朗希かシーハンか——ロバーツ監督が迫られる決断、佐々木朗希はこの舞台で輝けるか
監督が「決断を下す」と明言した、その重さ
数字が、言葉よりも雄弁に物語っている。
ドジャースのデーブ・ロバーツ監督が、はっきりとそう口にした。「決断を下す」と。ローテーション(先発投手の登板順)の一枠を巡って、佐々木朗希とベテラン左腕ブレイク・シーハンが競っている構図だ。聞こえは単純だが、この問いの奥には、朗希がメジャーで何者になれるのかという、もっと根の深い問題が潜んでいる。
一方で、もう一つの変数がある。ブレイク・スネルのリハビリ登板だ。負傷から復帰中のスネルは、最短あと2試合のリハビリ登板(実戦形式のテスト登板のこと)をこなせば、メジャーへの合流が現実になる。スネルが戻ってくれば、先発ローテーションの席は当然、さらに狭くなる。つまり朗希に残された時間は、思っているより短い。
ESPNをはじめとする米メディアの一部は、「朗希はまだ3A(メジャー一軍の一つ下のリーグ)で実戦経験を積むべきだ」と主張している。「大きな失望」とまで書いたメディアもある。厳しい言葉だ。ただ、その評価が正しいかどうかは、まだ誰にもわからない。可能性を論じるにはサンプルが少なすぎる。
「彼は良くなり続ける」——限られた機会で見せた光
6月3日、朗希は今季6度目の先発マウンドに上がった。2勝目を狙う登板だった。首脳陣からのコメントは前向きだ。「彼は良くなり続けている」という言葉は、決してお世辞ではないだろう。現場の目は数字だけでは測れない部分を見ている。
正直に言えば、朗希のここまでの成績は「圧倒的」とは言いがたい。日本ハム時代(NPB)やロッテ時代に見せていた、打者が手も足も出ないような支配的な投球——あの感覚を、メジャーのマウンドでまだ完全には再現できていない。球の回転数、コマンド(投球制度)、フィジカル的なアジャストメントと、課題は複合的だ。
でも、片鱗はある。確かに、ある。ストレートの質、落差のあるフォークボール(縦に鋭く落ちる変化球)の破壊力、そして何より「三振を取れる投手」という本質。それはどのレベルでも消えるものじゃない。問題はそれが、1試合の中でどれだけ連続して、安定して出てくるかだ。
ロバーツ監督が「決断を下す」と言ったとき、その言葉はプレッシャーであると同時に、チャンスの宣言でもある。誰かが背中を押してくれるのを待っていても、ここはメジャーリーグだ。自分の力でドアをこじ開けるしかない。
スネルの復帰というカウントダウンが始まっている今、朗希に残された登板機会は多くない。次のマウンドで、あの2019年に日本中が息をのんだ「あの投球」の欠片でも見せることができれば——ロバーツ監督の「決断」の行方も、きっと変わってくるはずだ。
出典: サンスポ
